クリーンな地球環境をつくる 気候変動の緩和と適応

取り組みテーマと⽅針

テーマ

気候変動の緩和と適応

7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに 9.産業と技術革新の基盤を作ろう 12.つくる責任、つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 17.パートナーシップで目標を達成しよう
方針 リコーリースグループは、スコープ1、2のネットゼロ目標を2030年に設定し、徹底した省エネで自社のCO2排出をネットゼロにすることを目指すとともに、再生可能エネルギーの普及や環境配慮型製品の拡大を通じて、脱炭素社会の実現に貢献します。また、資源やエネルギーの需給逼迫が懸念されるなか、天然資源の持続可能な管理や効率的な利用、廃棄物の大幅削減を目指します。リース終了後の設備や機器のリユースやリサイクル、レンタル機器のシェアリングを推進し、資源の有効利用を促進、循環型社会の実現に寄与します。

中長期CO2削減目標

二酸化炭素(CO2)を中心とした温室効果ガスの増加により、世界各地では自然環境や人の暮らしにさまざまな影響や被害が現れており、その深刻さから「気候危機」といわれています。2015年に気候変動の緩和に向けて合意されたパリ協定以降、企業においても事業活動における温室効果ガスの排出削減に取り組むことが求められています。当社グループは、科学的な知見と整合した温室効果ガス削減目標を求める国際的な枠組み「SBTi」が、目標設定の基準を「1.5℃」に引き上げたことを受け、2050年にバリューチェーン全体のCO2排出ゼロとする目標を掲げています。加えて、2023年9月、スコープ1、2のネットゼロ目標を2030年に前倒ししました。目標の基準年については、2023年度にグループ会社のWelfareすずらんの実績を加えたことで、2023年度を新たな基準年として、CO2削減を進めていきます。 新たな目標の達成に向けて、当社グループにおけるリスクと機会を把握し、マテリアリティの一つである「クリーンな地球環境をつくる」の取り組みで社会課題の解決に貢献していきます。

  • SBTi(Science Based Targets initiative):気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5℃に抑えるという目標に向けて、 企業に対し科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進している共同イニシアティブ

事業を通じた環境負荷低減の取り組み

中⻑期CO2削減⽬標と実績(スコープ1+2)

中⻑期CO2削減⽬標と実績(スコープ1+2)

2023年度は株式会社Welfareすずらんおよび、リコーリースの小規模事業所25ヵ所を新たに環境データ算定の対象に入れ、合計38事業所となった結果、各エネルギー量が増加しました。昨年まで対象だった事業所では、省エネ活動の成果により昨年度対比で電気量が削減されました。社有車はハイブリッド車とEVへ切り替えを進め、ガソリン車の切り替えがすでに完了しており、EVの導入数は合計4台となりました。CO2排出量は、当社の太陽光発電設備によるトラッキング付FIT非化石証書にてリコーリースグループの電気量全量にあたる869t-CO2分を購入・償還し、542t-CO2となりました。

中長期CO2削減目標(スコープ3)

中⻑期CO2削減⽬標(スコープ3)

温室効果ガス排出量に占めるスコープ3の割合が99.9%と非常に大きい当社グループは、2013年度からスコープ3の算出・開示に取り組み、お客様のリース機器使用時のCO2排出量を推計・開示することで、お客様とともにCO2削減に向け、環境配慮型製品の普及に努めています。
2023年度はCat1、Cat13は排出原単位の見直しにより微減しましたが、Cat2において不動産が増えた影響で、昨年度比0.4%増の1,011,701t-CO2となりました。

CO2排出量の第三者保証

CO2排出量データ(スコープ1・2・3)の算定結果は、株式会社サステナビリティ会計事務所による第三者保証を受けています。

CO2排出量データの第三者保証
CO2排出量データの第三者保証

非財務目標

項⽬ 2024年3月期実績 2026年3月期目標値
環境分野への累計資金投下額 3,138億円 4,000億円
再生可能エネルギー発電量 141,841.3MWh 205,700MWh
EV取扱台数 694台 -
  • 再生可能エネルギー分野におけるリース・割賦の契約実行高、および太陽光発電事業、エクイティ投資額の累計実績

環境分野への取り組み

環境分野の累計資金投下額

当社グループは、「クリーンな地球環境をつくる」をマテリアリティの一つに掲げ、地球温暖化対策や、CO2削減の観点から、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー源である「再生可能エネルギー」の普及に取り組んでいます。FIT制度の開始とともに、太陽光発電所を対象としたファイナンス案件を組成してきたほか、風力・バイオマス・小水力などの他電源にも取り組んできました。
また、2018年からは自らが発電事業者となる投資を開始し、FIT制度に基づくものからPPAまで幅広く手掛け、2024年3月時点で499サイト・177MWの発電所を有するに至りました。
2023年度は新たに地熱発電事業を行うSPCに対して匿名組合出資を行うなどの取り組みの結果、累計投資金額は3,138億円となりました。今後も積極的に投資をすることで、事業を通じて脱炭素社会の実現へ貢献していきます。

自己託送によるオンサイトPPA余剰電力の有効活用

オンサイトPPAスキームは消費電力の再生可能エネルギー化を行う上で有力な手段の一つですが、余剰電力の有効活用が課題となるケースがあります。本プロジェクトは、東扇島ロジスティクスセンターの屋根上に設置した当社の太陽光発電設備から自家消費用の電力を供給するだけでなく、消費しきれない電気についても協業パートナーであるデジタルグリッド株式会社の「自己託送運用サポートサービス」を利用することで、別拠点への自己託送を実現しました。
この取り組みの結果、東扇島ロジスティクスセンターにおける電力消費量を約76%削減できただけでなく、余剰電力を別拠点へと託送することで、別拠点における消費電力の再生可能エネルギー化にも貢献しました。
今後も本スキームをはじめとした環境貢献につながるソリューションを提供することで、お客様の脱炭素経営を支援していきます。

自己託送によるオンサイトPPA余剰電力の有効活用

リコーリースグループ初となる地熱発電事業に参画

東海林大騎の写真
営業担当者
環境・不動産営業本部
環境・エネルギー営業部
営業二課
東海林 大騎

当社グループは太陽光発電事業に次ぐ脱炭素化への取り組みとして、他の再生可能エネルギー分野への事業拡大を進めています。なかでも地熱発電は、地下から取り出した熱資源を活用するため、時間や天候に左右されない安定したエネルギー源として有力です。2024年3月、当社グループとして初の取り組みとなる、SPC「わいた第2地熱発電株式会社」への匿名組合出資を実行しました。
本プロジェクトは、ふるさと熱電株式会社(以下、ふるさと熱電)がスポンサーとなり、2026年3月の運転開始に向け、熊本県阿蘇郡小国町で発電所の開発を進めるものです。地域住民が設立した「合同会社わいた会」と「ふるさと熱電」によって開発され、すでに稼働中の「わいた第1地熱発電所」に次ぐ、2基目の地熱発電所(設備容量4,995kW)となります。これらのプロジェクトは、売電収入の一部が地域に還元され、まちづくりに活用されるほか、発電に使用した熱水や蒸気は、地下に還元する前に温室ハウス栽培で二次利用されるなど、地域共生、地域活性化を実現させる事業モデルです。加えて、発電所の運営や熱資源の利用によって地域での新たな雇用創出が期待されています。
私は、社会貢献に直接つながる本プロジェクトにやりがいを感じ、出資にとどまらず、ふるさと熱電や地域の皆様と、新たな価値創造に向けて現在もなお連携を図っています。今後も、再生可能エネルギーによる環境価値の創出と、地域の活性化につながる社会価値の創出を同時実現できる取り組みを進め、豊かな未来の実現に貢献していきたいと考えています。

ソーラーシェアリングによる耕作放棄地の活用と地域貢献

竹腰俊宏様の写真
お客様
株式会社電律
代表取締役
竹腰俊宏様

ソーラーシェアリングとは、農業用地の上部空間に太陽光発電設備を設置し、農業を営みながら太陽光発電事業を行う仕組みです。太陽の光を農業と発電とで分け合うことから「ソーラーシェアリング」と名付けられました。日本は農業従事者の減少や高齢化という社会課題を抱えており、耕作放棄地は一貫して増え続けています。ソーラーシェアリングの普及は、この状況を「太陽光発電による収入の増加」と「新たな農業の担い手を増やす」ことで改善に導くことが期待されます。当社が開発した岐阜県川辺町太陽光発電所について、開発当初からリコーリースグループに資金支援をいただきました。
当該発電所は、「合同会社こがねいろ」がFIT制度に基づく売電事業を行いながら、太陽光パネルの下では農業生産法人である「きらな農園」が原木しいたけの栽培を行う、日本最大規模のソーラーシェアリング式太陽光発電所です。栽培されたしいたけは、採れたての生産物が近隣の道の駅で販売されるほか、加工品としてインターネットを通じ全国に販売されるなど発電と営農の両立を実現しています。今後も連携しながら耕作放棄地の有効活用や地域雇用の増加、地域経済の活性化を実現したいと考えています。

原木しいたけ栽培の様子
原木しいたけ栽培の様子

お客様の安心・安全な太陽光発電所運営をともに支援

リコーリースグループでは、再生可能エネルギー電源需要の高まりに伴い、全国各地に小規模の太陽光発電所を保有する発電事業者に向けて、さまざまな角度から支援を行うサービス『ソーラーアシスト』を提供しています。サービスのなかで重要な役割を担うメンテナンス業務については、株式会社エネテク様とパートナーシップを結んでおり、安心・安全な発電所運営支援サービスを提供しています。

松本篤史様、藤井梨衣様の写真
お客様・保守会社
左:株式会社エネテク 取締役
仙台本社執行役員
松本篤史様
右:株式会社エネテク O&M
営業本部 本部長
藤井梨衣様

当社は創業以来、電気設備工事・電気保安管理を通じて培ったノウハウを再生可能エネルギーのOperation&Maintenance業務に活かすことで、最高品質のサービス提供に努めています。現在では太陽光発電事業のプロ集団として、最新・最適な設備を駆使し、国内10ヵ所の拠点を核に、年間約4,000ヵ所の発電所点検業務を行っています。
リコーリースグループは自社保有の太陽光発電所を500サイト以上運営されていますが、そのなかの多数のサイトを当社がメンテンナンスさせていただいています。
また、リコーリースグループの提供する「ソーラーアシスト」は「太陽光発電事業を行いたいものの管理のノウハウが不足している企業」や「人員が不足しているため管理を自社で行い難い企業」へ発電所管理業務を支援するサービスですが、当社はサービスのなかで発電所のメンテナンス業務を担当しています。
発電所の管理が疎かになると、想定した発電量を確保できなくなるばかりか、設備の破損・火災といったリスクを内包することにつながります。このようなリスクを低減し、パフォーマンスを最大化するため、連携して取り組んでいます。
『循環創造企業へ』という中長期ビジョンのもと、再生可能エネルギーのさらなる広がりを実現したいというリコーリースグループの想いに共鳴し、今後も良きパートナーとして、発電所のメンテナンス業務を通じた「安心・安全な発電所運営支援」を継続していきたいと考えています。

『ソーラーアシスト』スキーム図

EVの取り組み

当社は、2050年カーボンニュートラル社会の実現を目指し、電気自動車(EV)に注力することで、より多くのお客様に環境にやさしい移動手段を提供しています。
2023年度のEV取扱台数(HV、PHV、EV、FCV含む)実績は694台、全台数におけるEVの比率は18.8%となりました。主な取り組みとして、より多くのお客様へEVの提案ができるように、EV導入効果をシミュレーションできる営業ツールを整えました。このツールを利用することで、EV導入に伴う具体的なメリットや課題が明確となり、商談をスムーズに進められるようになります。
今後は、エネルギーマネジメントによる最適で効率的なEV利用を提案できるよう、EVの充電設備やその保守を含めるなど、さまざまなパートナーとの提携を進めることで、ワンストップで対応できる体制を整えていきます。また、自動車メーカー、販売会社と連携をさらに強化し、お客様のEV導入をサポートしていきます。