背景と取り組み意義
VUCA※1と呼ばれる変化の激しい社会、ビジネス環境において、事業における必要ツールを全て自社保有し資産化することなく、変化に応じて必要な機能を拡充し更新していく、リース機能への期待はさらに高まっています。リコーリースは、事業ドメインG ~ビジネス&ガバナンス~を策定し、これに関わる事業に積極的に取り組んでいます。
- ※1VUCA:Volatility(激動)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(不透明性)の頭文字をつなげた造語
各地域の社会課題解決と経済活性化への貢献
2020年度より、金融サービスを通じて地域経済の好循環を生み出すため“インサイドセールス/フィールドセールス”の営業体制に刷新しました。インサイドセールスは社内に常駐する営業担当者が各地域のベンダーに対してワンストップでサービス提供を行っています。フィールドセールスはお客様への対面のサービス提供を行い、農業・車両・建機といった重点分野に対して金融サービスを通じた社会課題の解決を図っています。
また、2021年度より新たな取り組みとして、地域金融機関との連携を強化しています。地方銀行や信用金庫などにはリース機能を持たない金融機関もあり、当社グループとの連携により各地域のお客様に対して総合的な金融サービスの提供が可能となります。こうした取引先とのパートナーシップにより地域経済の活性化に貢献していきます。
フィールドセールスにおける重点分野と役割
人口動態の変化による商圏縮小や働き手の不足など、地域で抱えている課題は多様化しています。そのような各地域の課題に対し、「農業」「車両」「建機」を重点分野と捉え、当社グループの強みであるベンダーとのパートナーシップにより社会課題の解決を図ります。2021年度は建機分野において、ショベルやクレーン市場を中心に、当社グループの強みである全国の拠点網を活かした事業展開を行うことにより、メーカーや代理店、専門商社といった販売パートナーとの連携を強化しました。車両分野において、大型トラックなどのメーカー直営ディーラーや地域有力販売店との取引が拡大しました。こうした重点分野への取り組み強化により、2021年度の重点3分野取扱高は304億円と、リース・割賦全体の取扱高が苦戦するなか、前年伸率23%と大きく増加しました。
農業の新しい未来への支援
日本の農畜産業は、従事者不足や高齢化、生産量の減少などが進み、産業自体の持続性が大きな課題となり、新たな担い手の確保や生産性の向上が急務です。現在、「スマート農業※2」の推進が官民挙げて取り組まれており、作業の効率化、高品質化を図り、稼げる産業への転換が目指されています。当社では、農業、畜産業に使用される機器類をリース・割賦などで提供し、またABL※3の手法を用いたファイナンス提供により、生産性の向上や資金調達の支援などを行っています。
たとえば、牛の動態管理システムを提供するデザミス株式会社をベンダーとして3,000頭の肉牛を管理する大規模畜産農家に「牛転倒感知センサー」と「監視カメラ」をリースしました。出荷前の大きく成長した肉牛は、転倒すると自力で立ち上がれず、死亡に至るケースがあります。畜産農家にとって出荷前の死亡は損害額が大きく、IoTを活用したリスクヘッジが評価されました。
- ※2スマート農業:ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用し、超省力・高品質生産を実現する新たな農業。「アグリテック」とも呼ばれる。
- ※3ABL(動産・債権担保融資):企業の商品や在庫、農家が保有する農畜産物、運送業者のトラックなど、動産や売掛債権を担保に資金を貸し出す仕組み。