背景と取り組み意義
気候変動、プラスチック問題などの社会問題に対し、地球温暖化防止に貢献する再生可能エネルギーの普及や、資源の循環を実現するビジネスの在り方が求められています。リコーリースは、事業ドメインE ~環境循環~を策定し、「環境循環」に関わる事業に積極的に取り組んでいます。
再生可能エネルギー分野への取り組み
当社グループは再生可能エネルギーの普及を目的とするFIT制度を背景に、2012年より発電事業者に対して太陽光、小水力、小型風力、木質バイオマスなどの発電設備に対するファイナンス提供を行い、2018年からは事業収益の増加、より一層の環境貢献を目的に自らを事業者とする太陽光発電事業を展開してきました。野立て太陽光発電のみならず、建物の屋根を活用した屋根置き太陽光発電、ため池を活用したフロート(浮き)式太陽光発電など取り組み範囲を拡大し、エクイティ投資など取り組み手法も多様化しながら、環境関連分野の事業拡大を図っています。
2021年度の環境分野営業実績は、未稼働認定失効制度によるFIT認定済み未稼働案件の駆け込み特需の反動減により、リース・割賦取扱高は減少となりました。一方、セカンダリー案件を中心に、自社発電事業・エクイティ投資額は増加した結果、環境分野の営業実績は前年伸率△18%の480億円となりました。2021年度における自社の太陽光発電事業の累計実績は、稼働発電所390サイト、営業資産残高190億円、発電容量102MWとなっています。
ゼロエミッションとなるZEB建物リースの活用
リコーリースの太陽光発電事業への取り組みは、リース業の一環として、屋根置き太陽光発電の商談にとどめることなく、再生可能エネルギーを利用することでの省エネ商材の利用について伝え、最終的には、建物そのものがゼロエミッションとなるZEB建物リースについて、その活用を進めています。このような省エネ商材(ZEB化商材)を拡大することが脱FITの急先鋒となります。
- ※ZEB:Net Zero Energy Buildingの略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指す。
Nearly ZEB事業所の一例
ロジポート川崎ベイでのオンサイトPPAスキームの取り組み
2022年7月より、東日本最大級(2022年7月現在)の物流施設であるロジポート川崎ベイに環境省の補助金※を活用したPPAスキームを導入しました。オンサイトPPAスキームの導入により、ロジポート川崎ベイにおける電気料金の削減に加え、平時の電力需要の一部を系統電力から置き換えることによるCO2排出の大幅な削減に貢献しています。
オンサイトPPAは、遠隔地の発電所から送配電系統を経由して電力供給を受けるオフサイトPPAと比べ、送電ロスや送配電コストを抑えることができるため、環境性と経済合理性が高いことが特徴です。また、当社がPPA事業者となって太陽光発電システムを保有することから、お客様は初期投資の負担なく再生可能エネルギーを利用することができます。
- ※環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)」を活用
発電所のパフォーマンス向上に寄与する「ソーラーアシスト」
太陽光発電所所有者を支援する「ソーラーアシスト」を、2022年4月より開始しました。これは、自らも太陽光発電事業者である当社が培ってきた知見を活かして、発電所のパフォーマンスの最大化に貢献することを目指した取り組みです。日々の保守点検や計測を徹底することが困難な中小規模投資家を主な対象としています。
これまでの発電事業のなかで当社は、発電量の予測値と実績値の乖離などを把握する必要性を感じていました。「ソーラーアシスト」は、予測発電量と実績発電量を比較することで、発電所が適正に稼働しているかを見極めることが可能になる発電分析や、資産運用効率最大化に向けた収支分析に加え、発電所の資産査定や買取、リファイナンス、メンテナンス会社などの協力会社のご紹介など、お客様の状況に応じてさまざまなご提案も行っています。自社の太陽光発電事業による取り組みに加え、お客様の発電所運営をアシストすることにより、さらなる脱炭素社会の実現に貢献していきます。