株主・投資家の皆様へ

環境変化の中でリコーリースが目指すもの

国内では、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行した2023年5月以降、社会・経済活動の回復が一層進み、概ねコロナ禍以前の活況を取り戻した状況となりました。一方、人手不足の深刻化に加え、円安などを要因とした物価上昇、日銀のマイナス金利政策解除などにより事業環境は急速に変化しております。
こうした中で当社グループは、お客様の業務効率化・省力化に必要な設備投資のハードルを下げ、付加価値の高い金融・サービスでお客様の成長機会のサポートをしています。コロナ禍の3年間、リモートワークの拡大に伴うパソコン需要の増加に応えるなど、さまざまな形でお客様の事業活動を支えてきた私たちは、引き続き環境の変化を的確に捉えた取り組みを通じてお客様とともに歩み、持続可能な社会および経済の活性化に貢献していきます。
私たちは、2023年度より3ヵ年中期経営計画をスタートさせました。当社のDNAであるトランザクションデータ(取引データ)の活用を通じた企業の成長機会に対する貢献と、事業を通じた社会課題の解決を行うために特定した4つのマテリアリティへの取り組みを通じ、経営理念に掲げる「豊かな未来」の実現を引き続き目指してまいります。

  • 「クリーンな地球環境をつくる」「豊かな暮らしをつくる」「持続可能な経済の好循環をつくる」「ハピネスな会社、そして社会をつくる」
代表取締役 社長執行役員 中村 徳晴の写真

中期経営計画初年度における進捗と成果

2023年度の営業状況について、不動産分野における物流施設、レジデンス物件に係る信託受益権への投資が増加したことに加え、環境分野における太陽光発電や複数の大口割賦案件への投資拡大により契約実行高が増加しました。
また、利益面では、前年のコロナ関連レンタル特需の反動によりas a Service分野は減益となったものの、資産利回りの改善と営業資産積み上げにより業績が拡大した不動産分野の伸長や、医療・ヘルスケア分野では株式会社Welfareすずらんの業績が通期を通じて連結業績に反映されたことなどにより、売上総利益は増加しました。

結果として2023年度の連結業績は、売上高3,083億円(前年度比3.2%増)、営業利益210億円(同1.0%減)、経常利益215億円(同0.1%減)となりました。前年度におけるコロナ関連の特殊要因を除けば、実質的に増益と言える成果です。しかし親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)は、一過性の特別損失(投資有価証券評価損)の計上により112億円(同24.2%減)となりました。営業資産残高は、前年度末の1兆902億円から247億円増加し、1兆1,1495億円となっています。
循環創造企業を目指す「私達らしい金融・サービス」の具現化という観点から、この1年間の取り組みをマテリアリティごとに振り返ると、まず「クリーンな地球環境をつくる」では、FIT非化石証書代理購入サービスの開始、当社初となる地熱発電事業への参画など、再生可能エネルギーの拡大に寄与するさまざまな取り組みを立ち上げています。
「豊かな暮らしをつくる」では、2022年度に子会社化した株式会社Welfareすずらんを通じて介護施設の運営に参入し、経営および業務の統合プロセスを進めております。これまでリースや、集金代行、介護ファクタリングなど、長年に渡り積み重ねた医療・介護周辺事業への理解に加え、介護事業運営を通じて、より高品質な介護サービスを行うべく、2023年12月に自立支援型介護の「見守りロボット」を開発するエイアイビューライフ株式会社への出資を行いました。
そして「持続可能な経済の好循環をつくる」では「SDGs参加型リース・レンタル」の取り扱いを開始し、多くのお客様よりご賛同をいただきました。また、株式会社NTTデータ、デザミス株式会社と共同で、畜産業界向けシステムの開発を開始しています。

中期経営計画2年目の2024年度は、不動産分野や環境分野の更なる拡大を目指しながら、as a Service分野とBPO分野にリソースを投入することで成長を促し、増収・増益を目指して活動していきます。中期経営計画最終年度(2025年度)の財務目標に向かっては、人財投資やIT投資など事業基盤強化のための投資を通じて業績の底上げを図り、達成を目指します。

期末配当の実施と株主還元の拡充方針

当社は、株主の皆様への利益還元について、配当の累進性を意識し、2025年度の配当性向40%以上、2029年度の同50%を目安に拡充を目指す基本方針を掲げています。前述の通り2023年度は、特別損失の計上により当期純利益が期初予想を下回る結果となりましたが、その要因は一過性のものであることと株主資本の水準を鑑み、今回の期末配当においても本方針を維持し、予定通り1株当たり75円としました。
これにより2023年度の年間配当額は、中間配当の1株当たり75円と合わせて同150円(前年度比5円増配)となりました。引き続き業績の向上に努め、さらなる還元拡充を図ってまいります。
なお当社は、「豊かな未来積立金」制度を利用した寄付により、自然災害の被災地・被災者の方々への支援などを行っています。2023年度は、各地へ総額7,849万円を寄付させていただきました。株主の皆様のご理解・ご協力に深く感謝申し上げます。

2024年6月
代表取締役 社長執行役員
中村 徳晴