社長メッセージ

社会価値と経済価値を同時に追求することでサステナブルな循環社会の実現に貢献し、未来への架け橋となる企業を目指します

新型コロナウイルス感染症によって被害に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げるとともに、医師や看護師など医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様に深く感謝を申し上げます。リコーリースグループでは、ステークホルダーの皆様の安全を第一に、感染防止対策を徹底した上で事業活動を継続し、社会の発展へと貢献していきます。当社グループは、中長期ビジョン『循環創造企業へ』を掲げ、サステナビリティ経営を推進しています。『循環創造企業へ』とは、当社グループの経営理念“私達らしい金融サービスで豊かな未来への架け橋となります”に込めた想いを受け、環境や経済、モノ、人の循環など、社会全体の好循環を創り出すことを意味しています。サステナビリティ経営においては「クリーンな地球環境をつくる」「豊かな暮らしをつくる」「持続可能な経済の好循環をつくる」「ハピネスな会社、そして社会をつくる」の4つをマテリアリティとしました。これらの課題解決を通じて、持続可能な循環社会の創造を目指します。

2020年度の振り返り ~当社グループの強みを発揮し、収益体質が強化された一年~

コロナ禍により営業活動が制限される時期もありましたが、“やるべきこと”の取捨選択が明確となり、収益性を重視した事業活動に注力しました。当期の営業資産は1兆394億円※1(前期末比203億円増)、売上高はリース債権流動化などの影響から3,262億円(前年同期比1.8%減)となりましたが、資産利回りの継続的な改善やインベストメント事業の伸長などにより、売上総利益は377億円(同7.2%増)となり、8期連続の増益となりました。“稼ぐ力”の伸長により貸倒費用を吸収し、営業利益は174億円(同2.7%増)、経常利益は175億円(同2.5%増)、当期純利益は120億円(同1.6%増)となり、いずれも過去最高を更新しました。このような結果となったのは、ストックビジネスにより過去から優良資産を積み上げてきたこと、以前より経済環境の変化を見据え、新規事業や働き方改革を推進してきたこと、そして収益体質の強化によるものと考えます。
財務面においては、リース債権の流動化、システム強化や営業体制の見直し等によって効率化を進めました。また社内の事業計画ではROICを活用した議論を行う等、資本コストを意識した活動を行いました。こうした事業活動の結果、1株当たりの年間配当金は前年90円から10円引き上げ、100円と増配を継続することができました。

  • ※1
    営業資産は、リース債権流動化控除前の残高を表示

中期経営計画の進捗 ~ESGと事業活動について~

2020年度は、中期経営計画(以下、中計)の初年度として、事業成長戦略および組織能力強化戦略を遂行しました。今中計より、事業ドメインを環境「E」、ソーシャル&コミュニティ「S」、ビジネス&ガバナンス「G」と定め、事業を通じた社会課題の解決を目指しています。

事業成長戦略の内、「ベンダーリースの更なる進化と顧客提供価値の強化」においては、ベンダーリースの更なる進化に向け、営業スタイルの変革を目指し、体制を見直しました。社内業務を中心としたインサイドセールスを導入し、与信から契約に至るまでの業務プロセスの効率化を図っています。顧客提供価値の強化では、各地域によって異なる社会ニーズを発見し、地域コミュニティの活性化や経済の好循環に貢献するファイナンスをはじめとした商品を展開しています。

『安心・安全・快適な「住まう」、「暮らす」環境の創造』においては、2020年11月にリロケーションマネジメント※2に強みを持つエンプラス株式会社を子会社化し、ソーシャルイノベーション事業に新たな競争力を付加しました。また、日本総合住生活株式会社と協働で、住宅賃貸事業+周辺サービスによる地域社会再生プロジェクトを進めており、インベストメント事業における不動産投資においても、所有する不動産に当社の提供するサービス含む多様なオプションを付加し、展開することで社会価値の創出を目指していきます。

「環境循環に根ざしたクリーンな地球環境への貢献」においては、日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言等を受け、再生可能エネルギーの普及が急務です。これまで当社で蓄積した太陽光発電事業のノウハウを活かし、エクイティ投資など手法の多様化や、他電源にもチャレンジしてまいります。また、資源循環の促進として、綜合警備保障株式会社(ALSOK)と提携し、自治体や企業が保有、またはリースしているパソコンやサーバーなど情報関連機器を対象にした高度なセキュリティのもとでのデータ消去サービスを開始しました。今後もお客様が安心してリース資産を返却できる環境の提供に努めます。

「新たな事業領域の開拓とビジネスモデルの創造」においては、2020年7月に200億円のESG投資枠を設定し、オンライン診療・疾患管理システムを提供する株式会社インテグリティ・ヘルスケアや、途上国での低~中間所得者に事業者向けの少額金融サービス(マイクロファイナンス)を提供する五常・アンド・カンパニー株式会社などに出資しました。今後もESG分野に貢献する事業や企業との連携強化を図り、ビジネスの拡大に努めます。

「みずほリースとの提携による事業拡大」においては、2020年3月のみずほリース株式会社(以下、みずほリース)との業務提携以降、具体的な業務提携に関する協議を進め、みずほリースと当社連携による案件取り組み(2020年度取扱高)は25億円となりました。この一年間は、お互いの事業や営業スタイルを理解する一年となりました。同じリース会社として健全な競合関係は保ちながら、相乗効果の考えのもと、我々が得意とするベンダー領域の紹介や、みずほリースの大型案件の一部を協調リースでサポートするなど、社会課題の解決に貢献できる新たなビジネスの共創を積み重ねていければと思います。2021年度は目標額を100億円とし、ベンダーファイナンス、注力分野(環境・医療)の連携、協調・紹介案件などを通じて、事業拡大を図ってまいります。

  • ※2
    リロケーションマネジメント:
    外資系企業、グローバル日系企業で働く従業員の移動にかかわるサービスを提供するビジネス。引越し、住居、航空券手配、物件の手配などのサービスを提供すること。

中期経営計画 リコーリースの目指す姿

「個を中心に据えた経営」で環境・社会・経済における良い循環を創造し、豊かな未来への架け橋となる

社員一人ひとりが社会と向き合うための羅針盤として

中長期ビジョン『循環創造企業へ』を達成していくためには、なによりも社員一人ひとりの力、「自立した個」の結集が重要となります。社員がSDGs・ESG・サステナビリティといった言葉を自然に使って自分たちの仕事を語りあうような環境をつくっていきたいと考えます。そして、当社グループの経営理念やビジョンに共感した方が入社し、誰もが活躍できるような会社を目指してまいります。

「個」を支える組織能力強化の一環として、業務品質を高める仕組みとともに、新しいビジネスに迅速かつ柔軟に対応するために新しい基幹システムを構築しています。また、2021年4月にDX(デジタル・トランフォーメーション)戦略室を新設しました。ベンダー向け・ユーザー向けWebサービスの刷新や、契約をはじめとする各種手続きのデジタル化などを推進しています。こうした取り組みが評価され、経済産業省と東京証券取引所が共催する「DX注目企業2021」に選定されました。

「個」である当社グループの社員は、真面目で誠実です。他人の意見やアドバイスに耳を傾け、地道にコツコツと創り上げていく頼もしい印象を持っています。なおいっそうのことを望むならば、リスクを恐れず積極的な行動をする面も見せてほしいと思います。新たなことを創り上げていくには、ときに荒々しさを発揮することも必要です。
そして、管理職などリーダーたちは、バランスを重視するタイプが多いように感じますが、強烈なパッションで皆を牽引するタイプやクールで理論的なタイプなど、様々なタイプのリーダーがいてこそ、我々が目指す「個を中心に据えた経営」が実現するものと考えます。それぞれの個性を活かしたユニークなリーダーシップが発揮されるように、経営理念の成立に関する勉強会なども実施し、RL Academy、みらい塾など、多彩な人財育成プログラムを展開してまいります。

当社グループの強み

2020年度に設置した「サステナビリティ委員会」は、当社グループにおける「サステナビリティに対する考え」のもとにサステナビリティ経営・戦略についての討議を行っています。サステナビリティ経営を推進していく上で、当社グループの「強み」の特定、事業セグメントにおけるリスクと機会の把握、マテリアリティごとの達成進捗を確認する指標を設定しました。特定・設定にあたっては、各本部役員とのスモールミーティングを経て、意見をまとめ、サステナビリティ委員会で議論の上決定しました。

ここでは、特定した「強み」についてご説明します。
一つ目は、「安定した収益を基盤に、自由な経営環境のもとお客様やベンダー起点の事業を創出・展開」してきた点です。当社は約40万社のお客様、約6,000社のベンダーとのパートナーシップの基盤があり、大きな事業資産となっています。当社の成り立ちでもあるベンダーリースをビジネスモデルの基盤として、新しい事業に果敢に挑戦することができます。新規事業の挑戦にあたっては、規制に縛られない経営環境ではありますが、透明性の高いガバナンスのもと、スピーディーに事業を展開しています。
二つ目は、「ESG・SDGsへの考え方をベースにしたパートナーシップによって共通価値の創造や、社会課題の解決へ貢献」している点です。以前より環境経営には注力しており、近年では、SDGs・ESGに積極的に取り組んでいます。その取り組みの結果、各種外部評価でも高い評価をいただいています。アライアンスはすべて社会課題解決を目指したものであり、ESGに直結した事業を拡大することで、サステナビリティ経営を推進していきます。
三つ目は、「多様な事業を支える人財と、お互いを認めあいながら挑戦できる企業風土」です。自由闊達で風通しの良い職場環境のなか、多様な事業での挑戦を通して、個の成長を後押ししています。また、多様な人財の活躍を様々な人事制度が支えています。特に社員の約半数である女性は管理職比率が20.4%となり、多くの女性が活躍しています。
個を中心とした私達らしい三つの「強み」を磨き、経営理念であるお客様と未来をつなぐ架け橋を目指します。

中村徳晴の写真

コーポレート・ガバナンスの強化

2021年のコーポレートガバナンスコード改訂、2022年の東京証券取引所の市場再編を踏まえながら、コーポレート・ガバナンスの強化を図っています。当社は取締役13名の内、独立社外取締役が過半数を超えた7名となりました。また独立社外取締役の内女性が3名で、その構成比は20%を超える水準となりました。指名報酬委員会および監査等委員会においても過半数が独立社外取締役であり、取締役におけるリコー以外の出身者の比率がさらに高まり、透明性や独立性、多様性の高いガバナンスを実践しています。

また2019年から導入していた取締役のスキルマトリックスを全面的に見直し、当社グループが取締役に期待する、企業経営、ESGサステナビリティ、財務会計など9つの分野について、それぞれの取締役のスキルを公開しています。
ESGを含む事業投資については、「投融資における社会・環境への配慮に関する方針」に基づいた審議およびモニタリング報告を目的とした投資委員会を設立し、執行と監督を継続しています。

豊かな未来への架け橋となるために、私たちが目指すべきこと

サステナビリティ領域においては、これまでになくESG・SDGsへの機運が高まっています。当社グループは、サステナビリティ経営やマテリアリティに対する取り組みについて、「統合報告書」を発行し、情報を開示しています。2020年度は当社グループの取り組みが評価され、三井住友信託銀行株式会社との間で「ポジティブ・インパクト・ファイナンス※3」の契約締結やESG投資のための株式指数「FTSE BlossomJapan Index※4」の構成銘柄に選定され、インデックスに組み込まれました。
当社グループのベースは金融事業であり、基本的にはファイナンスをお客様にリーチさせ、循環していくことが使命ですが、事業会社のようにモノやサービスも循環させることで、そのことが未来につながり、世の中をより良い形で持続させていくことができます。

ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていくためには、「安定的な経営」と「持続的な成長」を同時に成し遂げていかなければなりません。また、その実現のためにも、「稼ぐ力」(経済価値)と「サステナビリティ」(社会価値)を同時に追求していくことが重要になります。利益ばかりを追求し「自社だけが良ければ良い」という発想ではなく、「同時に」という考え方のもとに世の中に対して、長期的にどのようなインパクトを果たせるかを検証し、事業化に取り組んでまいります。
サステナブルな循環社会の実現に貢献し、未来への架け橋となる企業グループを目指し、社員一人ひとりの「個」が際立つ経営に取り組んでまいります。

  • ※3
    ポジティブ・インパクト・ファイナンス:
    国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱したポジティブ・インパクト金融原則に即し、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすポジティブ・ネガティブの影響を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行うことが最大の特徴。
  • ※4
    FTSE Blossom Japan Index:
    ロンドン証券取引所傘下で金融商品指数を算出しているFTSE Russell(フッツィー・ラッセル)が作成し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から優れたパフォーマンスを発揮していると判断された日本企業の株式で構成される株式指数。日本の公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もその一部資金の運用にあたって当該インデックスを採用している。