TCFD・TNFDへの対応
リコーリースグループは、気候変動および生物多様性の課題を、企業価値や事業戦略の決定に大きな影響を与える重要なテーマとしてとらえています。
気候変動分野においては、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、リスクや機会の分析に基づく情報開示に積極的に取り組んでいます。
今後は、国際会計基準であるIFRSのサステナビリティ開示基準(S1・S2)を踏まえ、日本企業向けに開発されたSSBJ基準に基づいた開示を推進していきます。
また、2025年4月には「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の理念にも賛同し、その活動を支援するTNFDフォーラムに参画しています。自社事業活動と生物多様性との関連性を適切に把握・評価するため、TNFDが推奨するLEAPアプローチに基づく分析を行い、段階的な情報開示を進めていきます。
TCFDフレームワークとの対応表
| 開示項目 | 統合報告書における開示箇所 | |
|---|---|---|
| ガバナンス | 企業は、気候関連のリスクと機会の評価・管理における取締役会の監督と経営陣の役割を開示。 |
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| 戦略 | 企業は、気候関連のリスクと機会(短期、中期、長期)、およびそれらが自社の事業、戦略、財務計画、コーポレート・ガバナンスに与える潜在的な影響を開示。また、2°C以下の気候シナリオ分析など、さまざまな気候シナリオに対する自社の回復力について説明。 |
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| リスクマネジメント | 企業は、気候関連リスクを特定、評価、管理するプロセスと、これらのプロセスが全体的なリスク管理プロセスおよび戦略にどのように統合されているかを開示。 |
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| 指標と目標 | 企業は、気候関連リスクへの対処と気候関連の機会の獲得における成功を測定するために使用する指標と目標の開示が必要。また、2050年までに実質ゼロ排出を可能にする行動や活動を含む移行計画を開示。 |
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TNFDフレームワークとの対応表
| 開示項目 | 統合報告書における開示箇所 | |
|---|---|---|
| ガバナンス | 自然関連の依存と影響、リスクと機会の組織によるガバナンスの開示 |
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| 戦略 | 自然関連の依存と影響、リスクと機会が組織のビジネスモデル、戦略、財務計画に与えるインパクトについて、重要である場合は開示する。 |
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| リスクとインパクトの管理 | 組織が自然関連の依存と影響、リスクと機会を特定・評価・管理するためのプロセスを説明する。 |
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| 測定指標とターゲット | マテリアルな自然関連の依存と影響、リスクと機会を評価し、管理するために使用している測定指標とターゲットを開示する。 |
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気候変動がリコーリースに及ぼすリスクと機会
脱炭素社会への移行や気候変動に伴う異常気象の増加により、当社のお客様のビジネスに影響が及ぶリスクが想定されます。近年我が国において気候変動に起因する自然災害が頻発していることを踏まえ、自社の事業のうち、気候変動による財務影響が懸念される5分類 【リース資産(事務機器※1 、自動車、産業機械)、太陽光発電、住宅賃貸】 について定性的シナリオ分析を実施しました。その結果、事業への影響度が大きいと特定した項目について定量的に分析し、財務影響額を概算しました。
なお、本年においてはこの定量的な分析の更新を行い、財務影響額については最新の将来予測値を用いて見直しを実施しています。
1.5℃シナリオ
気候変動に対し厳しい対策がとられ、気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ
4℃シナリオ※2
気候変動への対策がとられず、4℃程度気温が上昇するシナリオ
- ※1事務機器については、風水害などによるリース資産の毀損を想定し、保険などの活用を考慮して分析の実効性を精査した結果、気候変動における当社事業への影響は小さいとの判断のもとに定量化分析の対象外としました。
- ※2定性分析の結果、4℃シナリオにおける物理的リスク(洪水、高潮、気温上昇などによる毀損に対する影響)については、当社事業への影響は少ないとの判断のもとに定量化分析は行っていません。
当社事業への影響
シナリオ分析の結果、移行(1.5℃)および物理的(4℃)シナリオのいずれにおいても、気候変動がもたらす当社グループの事業に対する負の影響は短期ではおおむね限定的であるとの分析結果になりました。また、リスク影響よりも機会のほうがトータルでは大きいとの分析結果になり、1.5℃シナリオにおいては、売上および利益について増加が見込めることがわかりました。
取り組みについては、統合報告書のP.46 ~47をご覧ください。
- ※3短期:現在~2026年、中期:2027年~2030年、長期:2031年~2050年
- ※4大:30億円超、中:1~30億円、小:1億円未満
- ※5BEV(Battery Electric Vehicle):電動車(EV)の種類の一つで、100%電気で走る電気自動車
- ※6FCV(Fuel Cell Vehicle):燃料電池自動車のことであり、燃料電池内で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーでモーターを回して走る自動車
- ※7Nearly ZEB(Zero Energy Building):再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建物
事業活動と自然資本・生物多様性の関連性評価
TNFD提言のガイダンス(2023年9月発行)を参考に、初年度開示として対象範囲を限定した上で、自社の事業活動と自然資本・生物多様性との関連性について、社内調査および外部ツールを用いて分析を実施しました。現時点では、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす関連性は確認されておりませんが、今後は分析対象の範囲を段階的に拡大し、より具体的なリスクや機会の特定・評価に取り組んでいきます。
| 一般要件 | |
|---|---|
| マテリアティの適用 | 自社事業活動への影響のみならず、自然資本・生物多様性へ与える影響についても分析・評価するダブルマテリアリティの観点から開示しています。 |
| 開示のスコープおよび自然関連課題がある地域 | 初年度の分析・開示として、リコーリース株式会社の事業活動拠点および所有する太陽光発電所を対象とし、各所在地および事業内容と自然資本・生物多様性との関連性を評価しています。太陽光発電所は気候変動問題の観点では、脱炭素社会実現に貢献できるものである一方、生物多様性の側面からはパネル設置による生物多様性への影響も考えられたことから分析対象としました。今後、対象範囲および分析内容を段階的に拡大することを検討しています。 |
| 他サステナビリティ関連の開示との統合 | 現時点においては、気候変動および自然関連課題に関する包括的かつ統合的な分析には至っていませんが、両者の相互に影響を及ぼしうる関係性については認識しており、今後は、より統合的な観点からの分析および情報開示の高度化に努めていきます。 |
| 検討される対象期間 |
TCFDと同様に、短期:現在~2026年、中期:2027年~2030年、 長期:2031年~2050年と定義しています。 |
| 組織の自然関連課題の特定と評価における先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント |
リコーリースグループは、「国際人権章典」や「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」などの国際的な人権規範を尊重し、「リコーリースグループ行動規範」に基づき、人権の尊重に努めることで、持続可能な社会の実現を目指しています。 また、地域社会を含む当社・グループ会社およびサプライヤーなどにおける人権への負の影響を特定し、それらの防止・軽減を図る人権デュー・ディリジェンスを実施しており、その過程においては、生物多様性を含む環境への影響についても特定・評価を行っています。 今後も引き続き、各ステークホルダーと連携しながら、地域社会の環境保全と持続可能な経済活動の両立に取り組んでいきます。 |
事業内容×生物多様性
使用外部ツール:ENCORE
自社の事業活動が生態系サービス※にどの程度依存しているか、また自然環境にどのような影響を及ぼしているかを把握するため、国際的に広く用いられているツール「ENCORE」を活用し、分析を実施しました。今回は、当社が属する業種における一般的な関連性を把握することを目的としていますが、今後は本分析で関連性が高いとされた項目を意識し、自社特有の依存・影響の有無について、より詳細な検討を進めていきます。
- ※生態系サービスとは…自然資本から発生する生態系が経済活動やそのほか人間の活動に利益をもたらす恩恵のこと。
たとえば、森林での木材と薪の共有、サンゴ礁でのレクリエーションと観光の機会、洪水の緩和、作物の受粉など
事業拠点×生物多様性
使用外部ツール:環境省 生物多様性「見える化」マップ、IBAT、Aqueduct
当社では、自社の事業拠点(リコーリースの各事業所および太陽光発電所)が、生物多様性の保全上重要な地域や水ストレスが高い地域に立地しているかを把握するため、外部ツールを活用した調査を実施しました。
その結果、一部の事業所が該当地域内またはその隣接地に所在していることを確認しましたが、たとえば豊洲事業所が東京都によって広く設定されている東京湾周辺の鳥獣保護区内に位置しているように、実際にはオフィスビル内に所在し、直接的に自然環境と密接に接している状況ではないことから、現時点では特段の対応が必要な事業所はないと判断しています(太陽光発電所は重要地域内での操業なし)。
今後も対象範囲を順次拡大し、継続的に調査・把握を進めていきます。