株主・投資家の皆様へ

現在の事業環境と上期の振り返り

前中期経営計画(2020~2022年度)を通じて、中長期ビジョン『循環創造企業へ』の土台を築いた当社グループは、この2023年度より新中期経営計画を始動し、次の成長ステージにおける柱づくりを開始しました。2025年度までの3年間で、3つの事業成長戦略として「効率を伴うさらなる拡大」「事業&サービス付加による多様化」「新たなビジネスモデルへの挑戦」を掲げ、戦略を遂行していきます。
現在の事業環境は、コロナ禍からの回復を受けて経済活動の正常化が進む一方、物価高や人件費をはじめとしたコストの増加、金利上昇などによるインフレ傾向が顕著となってきました。そうした中、お客様が必要とする設備投資のハードルを下げ、事業成長を当社グループのDNAであるベンダーリースによってご支援することの重要性が一層高まっているものと考えています。私たちは、所有から利用へのシフトやアウトソーシング需要の高まり、デジタル化の進展、再生可能エネルギーの導入拡大といった変化を機会と捉え、自社の金融・サービスが持つ強みと掛け合わせた取り組みで、その役割に応えていきます。
2023年度上期の各分野の営業状況について、オフィス分野は情報関連機器を中心に契約実行高が回復しました。医療・ヘルスケア分野は開業医向け融資が伸長し、契約実行高が増加しました。設備投資分野は前年の大口案件の反動減により契約実行高は減少しました。不動産分野は、物流施設・レジデンス向け融資や信託受益権の投資を伸ばし、また環境分野も複数の大口割賦案件や太陽光発電事業への投資により、契約実行高は大きく伸長しました。as a Service分野は、ICT分野を中心に契約実行高を伸ばし、BPO分野は、新規顧客を継続的に獲得したことで、集金代行の取扱件数、介護ファクタリングの取扱高ともに順調に伸長しました。結果として上期連結業績は、売上高1,553億円(前年同期比4.2%増)、売上総利益230億円(同5.2%増)、営業利益114億円(同5.8%減)、経常利益116億円(同6.1%減)、投資有価証券評価損37億円を計上したことで四半期純利益53億円(同36.6%減)となりました。また、上期末時点の営業資産は大口の約定弁済もあり1兆868億円(前期末比34億円減)となりました。

  • 契約実行高とは、リースは賃貸用資産の取得金額、割賦は割賦債権から割賦未実現利益を控除した金額。
代表取締役 社長執行役員 中村 徳晴の写真

新中期経営計画の進捗状況

新中期経営計画の初年度における各事業成長戦略の取り組み状況について、「効率を伴うさらなる拡大」では、当社の最重要基盤であるオフィス、医療・ヘルスケア、設備投資の各分野における成長性を保持しつつ、効率性をより高めるために、業務の標準化や集約、システム投資により、デジタル化への対応を進めています。「事業&サービス付加による多様化」では、環境分野における太陽光発電関連ビジネスの幅を拡げるべく、脱FIT戦略としてPPAスキームでの事業拡大を推進しました。発電事業者のお客様に対しては、発電所の運営・管理業務の代行サービス「オペレーションアシスト」の提供を開始しました。またWelfareすずらんの子会社化による介護施設の運営は、既存事業である介護ファクタリングサービスと「地続き」の領域であり、私たちはそこから「変異」し、新たなサービスを生み出すことで成長につなげていきます。「新たなビジネスモデルへの挑戦」では、as a Service分野の拡大に向けて子会社のテクノレントとの連携強化を図り、社外とのアライアンスを進める一方、BPO分野は、当期から債権保証事業を開始しました。当社のDNAである40万社のお客様との取引データ、審査能力を活用し、法人間取引において発生する各種債権の未回収リスクを保証する事業であり、集金代行事業に続く柱へ育成していく考えです。
これらの成長戦略を支える組織能力強化戦略については、社内のチャレンジ促進・活性化を重視し、人的資本経営の観点から、人財育成の強化や制度面の整備に注力しています。グループ経営においても、ITや人財に関してはグループ会社間を横断した取り組みを推進するべく、組織名称も変更し、ガバナンスを強化する体制を敷きました。
2025年度の「当期純利益160億円」をはじめとする財務目標は、コロナ禍によるレンタル特需の剥落で高いハードルとなっていますが、計画初年度の出足は順調であり、目標達成は十分に可能と捉えています。

企業価値向上に向けて

企業価値向上という観点から、資本コストや株価を意識した経営の実現が求められております。新中期経営計画におけるas a ServiceやBPOのようなノンアセット事業をはじめとした各事業分野の利益の拡大と収益性の改善に加え、このたび株主還元基本方針を見直し、企業価値のさらなる向上につなげていきます。以上の考えのもと、当社は2025年度に「配当性向35%」を目指していた従来の株主還元基本方針を変更し、配当の累進性と業界トップクラスの還元水準を意識し、2025年度は「同40%以上」、2029年度は「同50%」を新たな目安としました。今回の中間配当については、1株当たり75円とし、期末配当は、同75円を予定しており、年間配当同150円(前期比5円増配)、配当性向32.1%となる見通しです。

2023年11月
代表取締役 社長執行役員
中村 徳晴