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経済産業省、FIT非化石証書の価格見直しに着手 – 市場との乖離是正で再エネ価値取引に転換点か
2026.1.30
目次
【速報】
経済産業省が、再生可能エネルギーの環境価値を取引する「FIT非化石証書」の価格設定、特に現行の「最低価格制度」の見直しを検討していることが明らかになりました。1月23日に開催された電力・ガス基本政策小委員会(第110回)で提出された資料(資料5)において、現行制度の課題と今後の見直しの方向性が示されました。この動きは、小売電気事業者、そしてRE100(事業活動に必要な電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアティブ)に取り組む企業にとって、環境価値調達戦略や事業収益に大きな影響を与える可能性があります。
参考:
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/110_05_00.pdf
FIT非化石証書とは? 現状の課題
「FIT非化石証書」とは、FIT(固定価格買取制度)対象の再エネ電源に由来する「環境価値」を証明する証書のことです。再エネ価値取引市場では需要家の再エネ価値の安定的な調達環境の整備を目的として、需要家企業が自社の使用電力の再エネ比率を高めるために、「トラッキング情報(発電所の所在地や種類など)」が付与された「トラッキング付非化石証書」として購入したりしています。しかし、経済産業省の資料では、現行のFIT非化石証書制度にはいくつかの課題が指摘されています。1例として電気の環境価値を再エネ価値取引市場で安価に調達できることにより、我が国におけるPPAのインセンティブを阻害する要因となっているという指摘や、高度化法義務達成市場において取引されている非FIT証書の環境価値を需要家に対して訴求しづらいといった市場の歪みが生じているという指摘がある。上記課題は、非化石価値取引市場の流動性を低下させ、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた環境価値の有効活用を妨げる恐れがあるとして、制度見直しの必要性が浮上しています。
見直しの方向性
非化石電源の維持・拡大が重要視され、見直しに賛成意見が多い一方で、小売事業者や需要家の負担への配慮も必要とされています。 特に再エネ価値取引市場(FIT証書)では、安価な価格がPPAを阻害する「市場の歪み」を是正し、非化石電源への投資促進が課題です。 高度化法義務達成市場(非FIT証書)の下限価格も検討されますが、上限価格は小売事業者負担を考慮し現状維持の方向。 環境価値ニーズと非化石電源の安定供給・投資を両立させるため、市場の歪みを是正する価格制度改革が進められる見込みです。
見直しによる影響予測
このFIT非化石証書の価格見直しは、エネルギー市場の様々なプレイヤーに影響を及ぼすことが予想されます。
・小売電気事業者: 非化石証書の調達コストは、電源構成の非化石比率目標達成に直結します。価格が下がることで、調達コストが軽減され、結果として電気料金設定や経営戦略に影響を与える可能性があります。
・企業(RE100等を目指す需要家): トラッキング付非化石証書の価格変動によって、企業の環境価値調達コストが変動する可能性があります。市場が活性化すれば、より多様な選択肢や安定的な調達が可能になることも期待されます。
今後のスケジュールと展望
今回の小委員会での議論は、「検討の方向性」が示された段階であり、具体的な制度改正の内容や時期はまだ決定していません。今後、経済産業省はさらなる議論を深め、関係事業者からの意見聴取なども行いながら、具体的な制度設計を進めていくものと見られます。FIT非化石証書の価格見直しは、日本のエネルギーミックスと脱炭素化目標達成に向けた重要な転換点となり得るでしょう。今後の具体的な議論の進展と、それが市場にどのような影響をもたらすのか、引き続き注目していく必要があります。今後の展望含めFIT非化石証書についてご相談したい方はぜひお気軽にリコーリースへご相談ください。




