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FIT非化石証書とは?【2025年最新】メリット・価格・購入方法を専門家が徹底解説

2025.10.17

FIT非化石証書とは?【2025年最新】メリット・価格・購入方法を専門家が徹底解説

企業の脱炭素経営が必須となる中、「FIT非化石証書」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか?「脱炭素目標の達成に使えるの?」「どうやって買うの?」「費用はどれくらい?」といった疑問をお持ちの担当者様も多いはずです。

本記事では、FIT非化石証書の基礎知識から、企業が導入するメリット、具体的な購入方法、最新の価格動向まで、専門家の視点で網羅的に解説します。この記事を読めば、貴社の再エネ導入戦略の具体的な一歩が踏み出せます。

 【結論】FIT非化石証書とは、企業の脱炭素に貢献するコスト効率の良い再エネ価値


 

FIT非化石証書について、まず結論からお伝えします。これは、企業の脱炭素活動において非常に有効な選択肢の一つです。

  • FIT(固定価格買取制度)対象の再エネ電源に由来する「環境価値」を証明する証書

  • 「トラッキング付」であれば、発電所の情報が紐づくため信頼性が高く、国際的な報告にも利用可能

  • 他の証書と比較して、コストを抑えて再エネ利用をアピールできる可能性がある

これだけでは少し分かりにくいかもしれません。次章から、これらの要素を一つひとつ丁寧に解説していきます。

まずは全体像から!「非化石証書」の基本と3つの種類


FIT非化石証書を理解するために、まずは上位の概念である「非化石証書」全体の仕組みを知ることが重要です。

非化石証書の仕組みとは?「電気」と「環境価値」を切り離す考え方

太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)によって作られた電気には、2つの価値があると考えられています。

  1. 電気そのものの価値: 照明をつけたり、機械を動かしたりする電気としての価値

  2. 環境価値: 「CO2を排出しない」という環境に配慮した付加価値

非化石証書とは、このうち②の「環境価値」だけを切り離して証書化し、取引できるようにしたものです。これにより、例えば自社で再エネ発電設備を持っていなくても、証書を購入することで実質再エネ由来とみなされます。

【一覧表】FIT・非FITの違いが一目でわかる!3種類の非化石証書を比較


非化石証書は、その由来によって大きく3種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社の目的に合ったものを選ぶことが重要です。

この記事のテーマであるFIT非化石証書は、再エネ由来でありながら比較的安価に調達できる可能性があるため、多くの企業にとって導入しやすい選択肢として注目されています。

【重要】再エネの由来を証明する「トラッキング付非化石証書」とは?


上の表にも出てきた「トラッキング」は、非常に重要なキーワードです。 トラッキングとは、証書に**「いつ、どこで、どの発電所が、どのようして発電したか」**という電源情報を紐づける仕組みです。

この情報があることで、購入した環境価値が確かに再生可能エネルギーに由来するものであることを証明できます。そのため、RE100やCDPといった国際的なイニシアチブへの報告には、このトラッキング付非化石証書が必須条件となっています。

なぜ今注目される?企業がFIT非化石証書を導入する5つのメリット


では、企業が費用をかけてまでFIT非化石証書を導入するメリットはどこにあるのでしょうか。主に5つの点が挙げられます。

 メリット1:CDPなど国際的な環境報告・イニシアチブへの対応

トラッキング付のFIT非化石証書は、企業の気候変動への取り組みを評価するCDPや、事業活動で使う電力を100%再エネで賄うことを目指すRE100などの国際的な枠組みへの報告に活用できます。これにより、グローバル基準での環境経営をアピールできます。

 メリット2:温対法におけるCO2排出量の報告

日本の法律である「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」では、一定以上のエネルギーを使用する事業者にCO2排出量の報告が義務付けられています。非化石証書は、この排出量算定においてCO2排出係数を調整(削減)するために使用できます。

 メリット3:ESG経営を推進し、企業価値・ブランドイメージを向上

投資家が企業を評価する際に環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を重視する「ESG投資」が世界的な潮流となっています。FIT非化石証書の活用は、環境(E)への具体的な取り組みとして評価され、資金調達や企業価値の向上に繋がります。

 メリット4:サプライチェーンからの脱炭素要請への対応

近年国内のグローバル企業が、取引先であるサプライヤーに対してもCO2排出量削減を求める動きが加速しています。FIT非化石証書は、こうした要請に応え、ビジネスチャンスを維持・拡大するためにも有効な手段です。

 メリット5:他の再エネ調達手法(PPAなど)に比べ導入ハードルが低い

自社で太陽光発電設備を導入する(PPAモデルを含む)場合、初期投資や長期契約が必要となりますが、証書購入はより手軽でスピーディに再エネ導入が実現できます。必要な量を必要な時に購入できるため、柔軟な対応が可能です。

どれを選ぶべき?FIT非化石証書と他の環境証書(J-クレジット・グリーン電力証書)の違い


環境価値を証明する証書には、非化石証書の他に「J-クレジット」や「グリーン電力証書」もあります。それぞれの違いを理解しておきましょう。

電力使用に伴うCO2排出量を削減したい場合は、FIT非化石証書かグリーン電力証書が適しています。その中でも、コストを重視する場合はFIT非化石証書が有力な選択肢となるでしょう。

【実践編】FIT非化石証書の購入方法と具体的な流れ


FIT非化石証書を実際に購入するには、どのような方法があるのでしょうか。

購入方法は3パターン!自社に合った方法を選ぼう

  • 方法①:電力会社が提供する「再エネ電力プラン」を契約する(最も手軽) 多くの電力会社が、実質的に再エネ100%の電気を供給するプランを提供しています。これは電力会社が代わりに非化石証書を購入し、需要家の電気と組み合わせるものです。契約を切り替えるだけで済むため、最も手軽な方法です。

  • 方法②:仲介事業者(小売電気事業者や専門業者)を通じて代理購入する(一般的) 現在契約している電力会社は変えずに、証書だけを専門の仲介事業者から購入する方法です。多くの企業がこの方法を採用しており、自社の使用量に合わせて柔軟に購入量を調整できます。

  • 方法③:需要家自身がJEPXの「再エネ価値取引市場」で直接購入する(専門知識が必要) JEPX(日本卸電力取引所)が開設する市場に参加し、自社で直接入札・購入する方法です。中間マージンがかからない可能性がありますが、市場の知識や取引資格が必要となるため、専門部署を持つ大企業向けの選択肢です。

4ステップで簡単!購入までの具体的な流れ(仲介事業者経由の場合)

最も一般的な「方法②:仲介事業者経由」の場合、以下のような流れで進みます。

STEP1:専門事業者への相談・見積もり 複数の仲介事業者に連絡し、自社の目的や必要な証書の種類、量を伝えて見積もりを依頼します。

STEP2:必要量(kWh)の確認と購入量の決定 自社の年間電力使用量などを基に、CO2をどれだけ削減したいかを決め、購入する証書の量を確定します。

STEP3:契約締結と入札・購入代行 仲介事業者と契約を結びます。事業者はJEPXの市場で入札を行い、証書の購入を代行してくれます。

STEP4:証書の受領と対外的な報告・活用 購入した証書(またはその証明書)を受領し、統合報告書やウェブサイトでの公表、各種イニシアチブへの報告などに活用します。

 気になる費用は?FIT非化石証書の価格相場と最新動向

最新の取引価格の推移【2025年10月更新】

FIT非化石証書の価格は、JEPXの市場でのオークション(入札)によって決まります。価格は常に変動しますが、JEPXのウェブサイトで過去の約定結果が公開されており、誰でも確認することができます。

2024年時点では、トラッキング付FIT非化石証書の最低価格は 0.4円/kWh に設定されており、実際の取引価格もその近辺で推移する傾向にあります。

FIT非化石証書価格

出典:一般社団法人日本卸電力取引所取引市場データ

https://www.jepx.jp/nonfossil/market-data/

 

価格はなぜ変動する?主な価格変動要因


証書の価格は、主に以下の要因によって変動します。

  • 需要と供給のバランス: 脱炭素を目指す企業が増えれば需要が高まり、価格は上昇する傾向にあります。

  • 入札の戦略: 市場参加者がどのような価格で入札するかに左右されます。

  • 制度変更の影響: 国のエネルギー政策や制度の変更が、市場価格に影響を与えることがあります。

 導入前に確認!FIT非化石証書を活用する上での3つの注意点

手軽に導入できるFIT非化石証書ですが、活用する際にはいくつか注意すべき点があります。

注意点1:証書には有効期限がある

購入した非化石証書には有効期限が定められています。通常、発電された年度の翌年度の報告までが有効とされています。期限を過ぎると価値が失われてしまうため、計画的に使用する必要があります。

注意点2:目的(国際的な報告など)に合った種類(トラッキング有無)か確認する

前述の通り、RE100やCDPなどへの報告を目的とする場合は、必ず「トラッキング付」の証書でなければなりません。安価だからといってトラッキングなしの証書を購入しても、目的を達成できない可能性があるため注意が必要です。

注意点3:市場取引のため、価格が常に変動するリスクがある

証書の価格は固定ではなく、市場の状況によって変動します。将来的に需要が急増すれば、価格が高騰するリスクも念頭に置いておく必要があります。

 まとめ:FIT非化石証書を理解し、脱炭素経営を加速させよう


本記事では、FIT非化石証書の仕組みからメリット、購入方法、価格までを網羅的に解説しました。

FIT非化石証書は、企業の脱炭素目標達成に貢献する、コスト効率と柔軟性に優れた再エネ調達手段です。自社の目的を明確にし、トラッキングの有無といった証書の種類を正しく理解した上で、最適な購入方法を選ぶことが成功の鍵となります。

この記事が、貴社のサステナビリティ活動を前進させる一助となれば幸いです。

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