企業が脱炭素経営を進める上で不可欠な「環境価値」の調達手段の一つである非化石証書。その価格動向は常に注目を集めていますが、経済産業省の最新資料からは、現在の低価格状況からの転換、特に「下限価格の見直し」が示唆されており、将来的な高騰リスクが浮上しています。企業は今、どのような「環境価値」戦略を構築すべきでしょうか。
非化石証書とは?その現状とこれまでの価格推移
非化石証書とは、再生可能エネルギー(再エネ)や原子力発電などの非化石電源によって発電された電気の「非化石価値」を証書化したものです。企業はこれを活用することで、自社の電力使用に伴うCO2排出量を削減したとみなすことができます。RE100(事業活動で用いる電力を100%再エネで賄うことを目指す国際イニシアティブ)達成の手段としても活用され、脱炭素経営の推進に欠かせないツールとなっています。
非化石証書の市場は、主にFIT電源由来の「再エネ価値取引市場」と、非FIT電源由来の「高度化法義務達成市場」に分かれています。これまでの取引状況を見ると、資源エネルギー庁の資料(第103回 制度検討作業部会 参考資料1)が示す通り、多くの入札で約定価格が下限価格に張り付いているのが現状です。例えば、FIT証書の再エネ価値取引市場では0.4円/kWh、高度化法義務達成市場(非FIT再エネ指定あり・なし)では0.6円/kWhが下限価格として設定されており、実際の取引価格もこの水準で推移していることが確認できます。これは、市場に売り入札量(供給)が買い入札量(需要)を大幅に上回る傾向が続いているためと考えられます。

なぜ今、「下限価格見直し」が議論されるのか?経産省資料が示唆する背景
しかし、経済産業省の審議会で議論されている資料からは、この現状に対する強い問題意識が伺えます。
- 約定価格が下限に張り付く現状への問題意識: 「再エネ電源投資を促進していく観点から、適正な再エネ価値の価格形成のあり方について、どのように考えるか」と提起されており、現在の低価格が再エネ投資を阻害している可能性が指摘されています。
- PPA(電力購入契約)市場への負の影響: 「下限価格(0.4円/kWh)については、こうしたPPAマーケットへの負の影響や、FIT証書が再エネ賦課金に支えられている点に鑑み、…価格水準の引上げについて早急に検討されるべきではないか」と明記されており、固定価格が長期契約を前提とするPPAのインセンティブを阻害しているという指摘があります。
- 再エネ賦課金の低減: FIT証書の売上は再エネ賦課金の低減に充てられるため、証書価格が上昇することで国民負担の軽減にも繋がるという側面があります。
これらの議論は、現在の非化石証書市場が「再エネ価値を適切に評価し、取引する環境」として十分に機能していないという認識に基づいています。市場の活性化と再エネ導入をさらに加速させるためには、価格水準の引き上げ、すなわち下限価格の見直し(引き上げ)が不可避であるという方向性が強く示唆されているのです。また、上限価格についても設定当初から市場環境が変化していることを踏まえ、「その是非を含め早急に再検討されるべき」とされています。これらの政策議論が具体化すれば、非化石証書の価格は現在の低水準から上昇する可能性が高く、企業にとっては調達コストの増加に直結する可能性があります。
非化石証書だけではない!多様な「環境価値」とその可能性

非化石証書が注目される一方で、企業が活用できる環境価値は他にも多岐にわたります。当社では、お客様の状況や目指すゴールに合わせて、最適な環境価値の組み合わせをご提案いたします。
- J-クレジット 省エネルギー機器の導入や森林管理など、CO2排出量の削減量や吸収量をクレジットとして認証する制度です。創出されたクレジットは売買可能であり、活用することで企業のCO2排出量削減に充当できます。自社で創出を目指すことも、他社が創出したクレジットを購入することも可能です。
- グリーン電力証書 再生可能エネルギーによって発電された電気の「環境付加価値」を証書にしたものです。非化石証書と同様に、活用することで再生可能エネルギーを利用したとみなすことができます。電源の種類(太陽光、風力など)や地域が明確なため、企業ブランディングにも繋がりやすいという特徴があります。
- 再生可能エネルギーの直接導入(自家消費型太陽光発電、PPAモデルなど) 非化石証書や各種証書の購入は、あくまで「価値」の調達ですが、自社で再生可能エネルギー設備を導入することは、より直接的かつ長期的にCO2排出量削減に貢献できます。
- 自家消費型太陽光発電: 発電した電気を自社施設で直接消費することで、電力コスト削減とCO2排出量削減を両立できます。
- PPA(Power Purchase Agreement)モデル: 外部事業者がお客様の敷地や屋根に太陽光発電設備を設置・保有し、そこから発電された電気を一定期間購入する契約です。初期投資なしで再エネ導入が可能です。
リコーリースは、非化石証書以外の環境価値やファイナンス支援、PPAなど最適なソリューションのご提案をいたします。非化石証書の価格変動に一喜一憂するだけでなく、多様な環境価値を戦略的に活用することで、貴社のGXを加速させ、持続可能な企業価値向上を実現しませんか?まずはお気軽にご相談ください。
